クリニックブログ BLOG

花粉と食物アレルギーの関係性について

スギ花粉が舞う季節となりましたね。
スギ花粉症は日本人の3~4人に1人の割合でいるといわれていて、この時期いろんな症状に悩まされている方が多いと思います。

ところで花粉症が原因で食物アレルギーをきたすことがあるのをご存じでしょうか?

【花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)】

実は食べ物の中には、アレルギー反応を起こす花粉の抗原(アレルゲン)と食べ物に含まれているアレルゲンの構造・形がよく似ているものがあるのです。


そのため、花粉症の人はその食べ物のアレルゲンに対して間違えて反応してしまいアレルギー症状がでます。この反応を「交差反応」と言います。

花粉との交差反応で特に多いのは果物や野菜で、「花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)」とも呼ばれ、花粉症の人のおよそ10人に1人の割合で発症すると言われています。

 

野菜や果物などに対するアレルギー検査で陰性にもかかわらず、実際に食べると口の中やのどがイガイガ・ヒリヒリすることがあり、それはこの交差反応によるものかもしれません。

小さなお子さんの場合は症状を上手に伝えることが難しいため、特定の野菜や果物が嫌いなのは実はアレルギーが原因だったかもしれませんね。

ちなみに下の表は、どの花粉がどの食べ物と交差反応を起こすのか証明されているものを示しています。実際にはもっとたくさんあります。

 

PFASの原因となる野菜や果物のアレルゲンは消化酵素に弱く胃や腸で分解されやすいため、口やのどなど直接接触した場所だけに反応が起こることが多いことから、「口腔アレルギー症候群(OAS)」とも呼ばれています。(口内のかゆみやイガイガなど)

しかし、症状が軽いからといって食べ続けると時に重症化する危険があるため、注意が必要です。(蕁麻疹などの皮膚症状、腹痛や下痢などの腹部症状、呼吸障害やアナフィラキシーショックなど)

 

<予防と治療>

明らかに症状がある食べ物については除去、つまり食べないようにすることが基本です。

しかし、加熱するなどの加工で食べることができる場合があります。
また、花粉症の時期にしっかり抗アレルギー薬を内服することで食物アレルギーもコントロールできることがあります。

この病態はそれほど恐れることはありませんが、中にはごくまれに蕁麻疹やショックなど重症化する方もいますので、症状が疑わしい時はまずアレルギー検査食べ物や花粉のアレルギーの有無をチェックして状態を把握することが大事です。